トッケビ（鬼）は韓国民族が想像した独特な想像の産物です。ときには意地悪ないたずらで人々を驚かせ、ときには人びとにたやすくだまされる愚かさをもっています。トッケビはおさないころ腕白の友だちのようにしたしくうれしい存在です。
　『おにのかなぼう』はトッケビ（鬼）の出てくる昔話のなかでももっともよく知られた話です。
　正直なお百姓は福をもらい、悪いお百姓は罰を受けるという基本のあらすじに、打てば何でも出てくるふしぎなトッケビ（鬼）の金棒が子どもたちの好奇心をそそります。
　「金よ、　出ろ、　どんどん」　　「ぽっとーん」等おもしろい語り口や、前と後ろのどちらからでも見ることのできる構成が特別な楽しさを与えます。とくに東洋画独特の効果をよく生かした絵が、昔話の雰囲気とよく調和しています。